コラム
毛嚢炎(毛包炎)の原因と早く治す方法・薬を紹介!ニキビとの違いや症状(膿・痛み)も解説
毛嚢炎(毛包炎)とは?原因とできてしまった場合の早く治す方法を紹介しています。
毛嚢炎とニキビ・粉瘤・ヘルペスなどの違いや膿・痛みなど主な症状のほか、陰部・顔など毛嚢炎ができやすい部位もまとめました。
また、市販薬などで毛嚢炎を自分で治す対処法と病院受診の際の診療科や治療薬・治療法、予防法なども解説しているので、毛嚢炎(毛包炎)について調べている方は参考にしてください。
目次
毛嚢炎とは?原因やニキビとの違いを解説
毛嚢炎(もうのうえん)は、毛穴の奥にある毛根を包んでいる部分「毛包(毛嚢)」に細菌が感染して炎症を起こす皮膚疾患で、毛包炎(もうほうえん)とも呼ばれています。
日常的に誰にでも起こりうる身近な皮膚疾患ですが、毛嚢炎を発症する原因や、見た目が似ているニキビや粉瘤などとの見分け方を解説しているので参考にしてください。
毛嚢炎(毛包炎)になる原因菌は?なぜできるのか確認
毛嚢炎の原因となる主な菌は、「黄色ブドウ球菌」や「表皮ブドウ球菌」などの細菌で、これらは普段から皮膚の常在菌として存在しています。
通常、これらの菌はバランスを保ちながら表皮に存在しているため問題ありませんが、以下のような状況で皮膚表面に小さな傷ができると、そこから細菌が毛包内に入り込み毛嚢炎(毛包炎)を引き起こします。
特に黄色ブドウ球菌は、鼻の中に多く生息しているため、鼻を触った手で体の他の部位を掻くことで毛嚢炎を引き起こすこともあるので注意が必要です。
なお、毛嚢炎の中には真菌(カビ)の一種であるマラセチアが原因で起こる「マラセチア毛嚢炎」や、温泉やプールなどで緑膿菌に感染して発症する「温浴毛嚢炎」もあります。
毛嚢炎との違いは?ニキビ・粉瘤・ヘルペスとの見分け方
毛嚢炎は見た目がニキビや粉瘤、ヘルペスと似ており見分けがつきにくいことがあるため、それぞれの違いと見分け方を確認してみましょう。
ニキビは毛穴に詰まった皮脂や汚れによってアクネ菌が増殖することで起こります。皮脂の多い顔や背中などにできやすく、白ニキビ・黒ニキビ・赤ニキビなど段階的に症状が進行するのが特徴です。
見た目では毛嚢炎と区別することは難しいですが、ニキビは中に芯ができることがあるのに対し、毛嚢炎はニキビのような芯ができることはありません。
粉瘤は、皮膚の下の袋(嚢:のう)に老廃物や角質が溜まってできる良性腫瘍です。
毛嚢炎と違い、中央に「黒い点(開口部)」が見られることが多く、袋の中に内容物が溜まって時間とともに徐々に大きくなっていくのが特徴です。
炎症を伴うと赤く腫れて痛みが出る場合がありますが、炎症を起こしていない状態では自覚症状はほとんどなく、指で軽く押すとぶよぶよとした感触があります。
ヘルペスは、ウイルス感染によって起こる水ぶくれ状の発疹です。
主に唇の周辺や鼻・目の周り、指、陰部などに発生し、症状が現れる部位によって「口唇ヘルペス」「性器ヘルペス」「帯状疱疹」などと分けられています。
毛嚢炎が膿をもった赤い発疹であるのに対し、ヘルペスは小さな水泡が集まってできるのが特徴で、強いかゆみやチクチクした痛みを伴います。
このように、ニキビや粉瘤、ヘルペスは毛嚢炎と似たような見た目でも原因や症状は異なります。
自己判断で治療を行うと悪化する可能性があるため、痛みや腫れが強い場合や、何度も繰り返す場合は病院を受診して正確な診断を受けましょう。
毛嚢炎(毛包炎)の主な症状を解説!しこり(膿)や痛み・かゆみは?
毛嚢炎(毛包炎)の症状は、炎症の程度によって異なります。
ここでは、毛嚢炎の主な症状について詳しく解説します。
軽い毛嚢炎では、毛穴の部分に小さな赤いブツブツ(丘疹)が現れ、大きさは数ミリほどです。中央には白や黄色の膿を持つことがあり、かゆみはほとんどなく、触れると軽い痛み(圧痛)を感じる程度です。
炎症は皮膚の浅い部分にとどまっているため、治ってから痕が残ることもほとんどありません。
毛嚢炎がやや進行すると、赤みが強くなり、膿を含むブツブツ(膿疱)が目立つようになります。患部を触ると痛みを感じるほか、周囲の皮膚が少し腫れることもあります。
爪でつぶしたり不衛生な環境で悪化させると、炎症が深く広がることがあります。
毛嚢炎が悪化し、炎症が毛包の深部まで及ぶと「せつ(おでき)」と呼ばれる状態になり、以下の症状が現れます。
- 皮膚の下に硬いしこりができる
- ズキズキとした脈打つような痛みを伴う
- 患部が赤く腫れ、熱を持つ
- 中央に膿が溜まり、黄色や白く見える
膿が排出されれば症状は軽快しますが、炎症を起こした場所が深い場合は色素沈着や皮膚の陥没など痕が残ることもあります。
複数の毛包に炎症が広がり、皮膚の下でつながった状態を「よう(癰)」といいます。
「よう(癰)」は複数の「せつ」が集まった状態で、次のような症状を伴います。
- 患部全体が広範囲に腫れ上がる
- 強い痛みで動作に支障が出る
- 発熱(38℃以上)や倦怠感が生じる
- リンパ節の腫れを伴うこともある
近年では、抗菌薬の普及や衛生環境の改善により、よう(癰)にまで進行するケースは比較的少なくなっているようですが、免疫力が低下している場合には発症リスクが高まるため、早めの受診が大切です。
毛嚢炎は陰部・顔にもできる?できやすい部位
毛嚢炎は、毛穴がある部位であれば全身のどこにでも発症する可能性がありますが、特に皮脂分泌が多い場所や摩擦・蒸れが生じやすい部位にできやすい傾向があります。
頭皮、顔、背中、うなじ、脇、おしり、陰部(デリケートゾーン)、太もも
これらの部位は、汗や皮脂がたまりやすかったり、下着や衣類との摩擦によって肌のバリア機能が低下し、細菌が侵入しやすくなります。
特に陰部(デリケートゾーン)やおしり、太ももなどの部位は、通気性が悪く蒸れやすいため、ムダ毛処理や衣服・下着のこすれなどが原因で毛嚢炎を起こすことがあります。
また、顔の毛嚢炎では、鼻や口のまわりなど皮脂腺が多い部位にできやすく、炎症が深くなると「めんちょう(面疔)」と呼ばれる重症化した状態になることもあります。
顔の中心部は血管が多く、炎症が広がると重篤な合併症を引き起こすリスクがあるため、自己判断は避け、早めに医療機関を受診することが大切です。
毛嚢炎(毛包炎)を早く治す方法!自分で治せる対処法とは
毛嚢炎ができてしまった場合、どのように対処すれば早く治せるのでしょうか。
ここでは、毛嚢炎が治るまでの期間と自分でできる対処法を紹介します。
毛嚢炎は自然に治る?どのくらいで治るか治癒までの期間
軽度の毛嚢炎であれば、皮膚を清潔に保つことで自然治癒することが多いですが、治るまでの期間は炎症の程度によって異なります。
毛嚢炎の症状が軽度であれば、患部を清潔に保ち刺激を避けることで1~2週間ほどで自然に治ることが多いです。
毛包の炎症が深く赤みや膿疱がある中等度では、治るまでに2週間~3週間程度かかることがありますが、市販薬を使用することで治癒を早めることができます。
毛包の炎症がさらに悪化した重度の場合には、治るまでに3週間~1ヶ月以上の期間がかかり、治癒後も色素沈着や皮膚の凸凹が残ることがあります。
これら毛嚢炎が治るまでにかかる期間は、体質や症状の程度によって個人差があるため、あくまで目安として考えておきましょう。また、症状の重さは自己判断が難しいため、悪化する前に医療機関で適切な治療を受けることが大切です。
毛嚢炎(毛包炎)を自分で早く治す方法を紹介
軽度から中等度の毛嚢炎であれば、自宅でのセルフケアで改善することが可能なため、早く治すための具体的な方法を確認してみましょう。
毛嚢炎を早く治すには、患部を清潔に保つことが重要です。
1日1〜2回、石鹸をよく泡立てて優しく洗い、ぬるま湯でよく泡を流し、清潔なタオルで水分を拭き取りましょう。
皮膚を強くこすったり、洗浄力の強い洗浄剤の使用、洗いすぎなどは、乾燥を招き皮膚のバリア機能を低下させてしまうため、洗い方や選ぶ洗浄剤を見直すとよいでしょう。
毛嚢炎ができると気になって触りたくなりますが、手で触れると細菌が付着して症状が悪化する可能性があります。できるだけ患部には触れず、触ったり掻いたりしないよう注意しましょう。
また、衣服による摩擦や締め付けも刺激になるため、コットンなどの肌触りの良い素材で、ゆったりとした衣服を選ぶのもおすすめです。
皮膚が乾燥するとバリア機能が低下し、細菌が侵入しやすくなります。
肌を保湿することで細菌感染を防ぐことができるため、入浴後はセラミドやヒアルロン酸などが含まれた化粧水やローションで肌を保湿するとよいでしょう。
毛嚢炎は自分で膿を出して大丈夫?潰してしまった場合の対処法
毛嚢炎の膿疱が気になって、つい潰してしまいたくなることもあるかと思いますが、自分で膿を出すことは基本的におすすめできません。
特に顔にできた毛嚢炎は、炎症が悪化すると痕が残りやすく目立ちやすいため、潰さないよう注意が必要です。どうしても気になる場合は、医療機関を受診して適切な処置を受けることをおすすめします。
誤って毛嚢炎を潰してしまった場合は、以下の手順で対処しましょう。
このように、毛嚢炎を潰してしまった後も患部を清潔に保ち刺激を避けることが大切です。
数日間は患部の状態を注意深く観察し、もし、赤みや腫れが広がったり痛みが強くなるなどの症状があれば、すぐに医療機関を受診するようにしてください。
毛嚢炎に効く市販薬はある?陰部にも使える薬の種類
軽度から中等度の毛嚢炎(毛包炎)であれば、市販薬を使用することで症状を改善できる可能性があります。ここでは、毛嚢炎に効く市販薬の種類と選び方を紹介します。
毛嚢炎(毛包炎)に効く市販薬の種類
毛嚢炎(毛包炎)には、原因菌である黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌に効果がある抗菌成分を配合した軟膏やクリームが有効です。
代表的な有効成分には、「クロラムフェニコール」や「フラジオマイシン硫酸塩」などがあり、膿を持つ皮膚疾患に効果を発揮します。
また、炎症の程度やかゆみの有無など、症状に適した有効成分が含まれているかも確認するといいでしょう。強い炎症や腫れ・赤みがある場合には、ステロイドが配合された外用薬も検討してみてください。
2つの抗生物質クロラムフェニコールとフラジオマイシン硫酸炎が細菌の発育や増殖を抑え化膿した患部に作用します。プレドニゾロン(ステロイド成分)が、かゆみや炎症を抑えます。
油性の基剤のためジュクジュク、かさかさした患部にも使用できます。ただし、プレドニゾロンが配合されているため長期連用は避けましょう。
ベタメタゾン吉草酸エステル(ステロイド成分)が湿疹やかぶれ等の炎症に作用します。抗菌作用のあるフラジオマイシン硫酸塩(抗生物質)が細菌の発育や増殖を抑えます。
油性基剤なのでジュクジュクした患部に適していますが、ベタメタゾン吉草酸エステルは比較的作用が強いため、広範囲や顔、陰部などの皮膚が薄い部分への使用は控えるようにしましょう。
スルファジアジン(抗生物質)が化膿を抑え、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩(抗ヒスタミン)が腫れを鎮めます。
おしりや陰部にできた毛嚢炎にも使用可能(※粘膜は不可)で、さらっとしたクリームタイプのため、蒸れやすい部分にも使いやすいでしょう。
ヒドロコルチゾン(ステロイド成分)が皮膚の炎症を鎮め、オキシテトラサイクリン塩酸塩(抗生物質)が、グラム陽性菌及び陰性菌などに抗菌力を示し、原因菌の繁殖を抑えます。
軟膏タイプで黄色のため、ガーゼを使用し、衣服などの布製品への付着に注意しましょう。
グラム陰性桿菌(特に緑膿菌)に効果的なポリミキシンB硫酸塩と、グラム陽性菌及び陰性菌に抗菌力を示すオキシテトラサイクリン塩酸塩の2つの抗生物質を配合し、原因菌に効果を発揮します。
コリスチン硫酸塩(硫酸コリマイシン)とバシトラシンの2つの抗生物質が、グラム陽性・陰性菌に幅広い抗菌作用をもち、単独または混合感染症の治療に効果を発揮します。
毛嚢炎のほか、キズや火傷、二次感染の予防及び治療に使用可能です。
上記のように、毛嚢炎に効果的な市販薬は多数あり、おおよそ1,000円~2,000円程度で購入することができます。
ただし、配合されている有効成分や用法用量はそれぞれ異なるので、使用方法をしっかり確認して使用するようにしましょう。
毛嚢炎で市販薬を使用する際の注意したいポイント
毛嚢炎(毛包炎)で市販薬を使用する際は、以下のポイントに注意しましょう。
市販薬を使用して3日〜1週間程度で改善が見られない場合は、使用を中止して医療機関を受診してください。使用して治らない場合は、原因菌が薬剤に耐性を持っている可能性や、毛嚢炎以外の皮膚疾患の可能性があります。
市販薬であっても、塗りすぎや頻回の使用は、かえって皮膚に負担をかける可能性があるため、添付文書に記載された用法・用量を守って使用しましょう。
また、目や口の中、粘膜には使用しないよう注意してください。
炎症やかゆみを抑える目的で、ステロイド成分を含む市販薬がありますが、長期間の連用や広範囲への使用は避ける必要があります。 特に、顔や陰部など皮膚の薄い部位では、副作用が出やすいため注意が必要です。
1週間程度を目安に改善が見られない場合や悪化した場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
市販薬にも副作用が現れる場合があります。使用していて、かぶれやかゆみ、赤みなどの副作用が現れた場合は、すぐに使用を中止して医療機関を受診しましょう。
このように、毛嚢炎に市販薬を使用する際は、症状の程度や使用期間に注意しながら、正しい方法で使用することが大切です。
数日使用しても改善が見られない場合や、赤み・痛みが強くなる場合は、早めに医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。
毛嚢炎(毛包炎)が悪化・治らない場合は病院を受診
毛嚢炎(毛包炎)が改善しない場合や症状が悪化している場合は、医療機関を受診する必要があります。ここでは、病院を受診する目安と治療内容を解説します。
毛嚢炎(毛包炎)の治療は何科を受診する?
毛嚢炎の治療は、基本的には皮膚科を受診するのが適切です。
皮膚科では、視診や問診によって毛嚢炎の診断を行い、症状に応じた治療を受けることができます。
また、毛嚢炎ができた部位によっては、他の診療科を受診することもできます。
ただし、陰部にできた毛嚢炎でも皮膚科で診察を受けることも可能なので、自分にとって受診しやすい診療科を選んでもよいでしょう。
- 赤みや腫れが広がっている
- 強い痛みや熱感がある
- 膿が大量に出る
- 発熱や倦怠感など全身症状がある
- 繰り返し発症している
- 多数の毛嚢炎が同時にできている
特に毛嚢炎がせつやようまで悪化している場合は、処置が必要になることがあるため、早めの受診が大切です。
毛嚢炎(毛包炎)で処方される治療薬
病院を受診すると、毛嚢炎の症状の程度に応じて適切な治療薬が処方されます。
軽度から中等度の毛嚢炎では、抗菌薬の外用薬が処方されることが一般的ですが、炎症や腫れ、かゆみが強い場合には、ステロイド配合の外用薬が処方されることもあります。
外用抗菌薬は患部に直接塗布することで、毛包内の細菌に作用し炎症を抑えます。一般的に1日1回~数回を目安として、ガーゼなどにのばして患部に貼付して使用します。
ステロイド外用薬は、ステロイド成分が炎症を抑え、抗菌成分が細菌の増殖を防ぐ働きをします。ただし、長期使用は皮膚が薄くなる「菲薄化(ひはくか)」などの副作用を引き起こす可能性があるため、医師の指示に従って使用期間を守りましょう。
毛嚢炎が広範囲に及んでいたり深部まで炎症が達している場合には「抗菌薬」の内服薬が処方されることもあります。
抗菌内服薬は、毛嚢炎の原因となる黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌に効果を発揮し、服用することで細菌の増殖を抑えます。
外用薬のみで改善しない場合や、毛嚢炎が広範囲に多発している場合に処方されますが、症状が改善しても自己判断で中止せず、医師の指示通りに最後まで服用することが大切です。
なお、これらの病院で処方される薬は、いずれも副作用が現れる可能性があるため、用法・用量を守り、疑問や異常を感じたら医師や薬剤師に必ず相談しましょう。
毛嚢炎がなかなか治らない・重症化した場合の治療方法
抗菌薬による治療でも改善が見られない場合や、せつ・ようなどに重症化した場合には、より専門的な治療が必要になります。
膿が大量に溜まっている場合や、しこりが大きくなっている場合には、切開して膿を排出する処置が行われます。
切開して膿を排出することで、膿による圧迫の解消と痛みが和らぎ、抗菌薬の効果も高まるため治癒を早めることができます。処置後は創部の消毒やガーゼ交換を定期的に行うため、傷口の状態に応じて数日ほど通院が必要になります。
もし重度の毛嚢炎(毛包炎)が再発した場合には、膿のサンプルを採取し「細菌培養検査」を行うことがあり、検査結果に基づき、より原因菌に適した抗菌薬が選択されます。
特に、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)など、通常の抗菌薬が効きにくい細菌が原因の場合には、培養検査が重要になります。
また、毛嚢炎を繰り返したり、治りにくい場合には、免疫機能の低下が原因となっている可能性があるため、血液検査などで調べることがあります。
血液検査で基礎疾患が見つかった場合には、その治療を優先することで毛嚢炎の改善につながります。
このように、医療機関では原因菌と症状に合わせて適切な処置がされます。早めの受診はもちろんですが、「毛嚢炎(毛包炎)が悪化している」「発熱や倦怠感がある」という場合には、早急に医療機関を受診するようにしましょう。
毛嚢炎(毛包炎)を防ぐには?対策を紹介
毛嚢炎は一度治っても再発しやすい皮膚疾患のため、予防するための具体的な対策を紹介します。
毛嚢炎(毛包炎)を予防する肌ケア方法
毛嚢炎は、日常的なスキンケア方法を見直すことで発症のリスクを減らすことができます。
普段の生活で実践できる毛嚢炎を予防する肌ケア方法を以下にまとめたので、参考にしてみてください。
肌を清潔に保つことは毛嚢炎を予防するための基本ですが、洗いすぎは乾燥を招き毛嚢炎を起こすリスクを高めるため、下記のポイントを意識して行ってみてください。
洗浄後は清潔で柔らかいタオルで、押さえるように水分を拭き取りましょう。
タオルでゴシゴシこすってしまうと、摩擦や繊維で皮膚に細かい傷がつき毛嚢炎の原因になるため、刺激しないよう優しくふき取るのがポイントです。
カミソリや毛抜きによるムダ毛処理は、皮膚表面を削り細かい傷がつくことで、細菌が侵入しやすくなり毛嚢炎を引き起こす原因になります。
自己処理する場合は、電気シェーバーを使用するのがおすすめです。
電気シェーバーはカミソリと違って、刃が直接肌に触れにくい構造になっているため、皮膚への負担を軽減できます。
また、医療脱毛を検討するのも毛嚢炎の予防に有効な方法です。
施術直後は、一時的に毛穴が刺激され毛嚢炎が起こることがありますが、脱毛が進むにつれて自己処理の頻度を大幅に減らすことができるため、長期的には毛嚢炎の発症リスクを下げることが期待できます。
皮膚が乾燥すると、肌のバリア機能が低下して細菌が侵入しやすくなり毛嚢炎の原因になるため、日常的に保湿ケアを行い肌のうるおいを保つことが大切です。
肌の保湿は、バリア機能を整え細菌が侵入しにくい健やかな皮膚を保つことができます。
また、季節に応じて保湿剤の種類を変えるのもおすすめです。
夏は汗や皮脂が多くなるため、水分が多く塗り心地が良いローションタイプにしたり、冬は乾燥が強くなるため、乳液やクリームタイプで保湿するとよいでしょう。
肌を保湿することにより毛嚢炎の発症を防ぐだけでなく再発予防にも繋がるため、習慣化することをおすすめします。
汗や皮脂で汚れた衣類や寝具は、黄色ブドウ球菌などの細菌が繁殖しやすく、毛嚢炎の原因になります。特に湿気がこもりやすい季節や環境では、以下のポイントを意識してみてください。
特に陰部やおしり、太ももなどは蒸れやすく細菌が繁殖しやすい部位のため、通気性の良い下着の着用やこまめに汗拭き取るなどで、清潔を保つとよいでしょう。
紫外線は肌の乾燥や炎症を引き起こし、バリア機能を低下させることで細菌感染のリスクを高めるため、毛嚢炎を予防するためにも日常的な紫外線対策を心がけましょう。
なお、日焼け止めの成分によっては毛穴を詰まらせることがあるため、帰宅後は丁寧に洗い流して清潔な状態を保つことが重要です。
鼻の中には毛嚢炎の原因菌である黄色ブドウ球菌が多く生息しています。
そのため、鼻を触った手で他の部位を触ると、菌が皮膚に移り毛嚢炎を引き起こすことがあります。
鼻を触る癖がある人は、できるだけ触らないように意識したり触った場合は手を洗う・アルコール消毒を行うなど、清潔を心がけましょう。
毛嚢炎の予防に摂っておきたい栄養
健康な肌を保つためには、バランスの良い食事が欠かせません。
特に以下の栄養素は、皮膚のバリア機能を整え、炎症や感染に対する抵抗力を高めるため毛嚢炎の予防にも役立ちます。
これらを参考に、まずは食事からバランスよく摂ることが大切です。
不足を補うためにサプリメントを取り入れるのも一つの方法ではありますが、例えばビタミンAは脂溶性のビタミンで過剰に摂取しすぎると返って皮膚の乾燥を招いたり、体調不良にも繋がる可能性があるため、なるべく食事から摂れるように見直すとよいでしょう。
毛嚢炎(毛包炎)のよくある疑問
最後に、毛嚢炎に関するよくある疑問についてまとめたので、チェックしてみましょう。
毛嚢炎(毛包炎)になりやすい人の体質は?
毛嚢炎は誰にでも起こりうる皮膚疾患ですが、特に以下のような体質や状態の方は発症しやすい傾向があります。
これらに当てはまる場合は、毛嚢炎を予防するためにも、皮膚を清潔に保ち、摩擦や蒸れを防ぐ生活習慣を意識することが大切です。
毛嚢炎が繰り返しできる理由は?
毛嚢炎(毛包炎)が繰り返しできる場合には、いくつかの理由が考えられ、間違ったスキンケアや自己処理の方法、不衛生な衣類・寝具の使用、基礎疾患がある、鼻を触る習慣がある、抗菌薬が効きにくい細菌(MRSA:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に感染しているなどが挙げられます。
これらの原因を一つずつ見直し、必要であれば医療機関を受診し適切な検査や治療を受けることをおすすめします。
毛嚢炎は糖尿病が原因で起こる?
糖尿病患者が毛嚢炎(毛包炎)を発症しやすい原因には、免疫機能の低下や皮膚の乾燥、血行不良などがあります。
糖尿病そのものが直接毛嚢炎を引き起こすわけではありませんが、上記のように糖尿病患者は毛嚢炎を発症しやすい傾向があります。
血糖値のコントロールを適切に行うことはもちろん、皮膚の保湿を十分に行ったり、小さな傷でも放置せず、少しでも異常を感じたら医療機関を受診し医師の判断を仰ぐようにしましょう。
毛嚢炎のせつは何日で治る?
毛嚢炎の「せつ(おでき)」は、毛嚢炎が深部まで進行し重症化した状態のため、治るまでには3週間~4週間以上の期間を要する可能性があります。
毛嚢炎が悪化したせつは、自己判断で治療するとさらに悪化したり、痕が残ったりする場合があるため、医療機関を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。
毛嚢炎ができたらお風呂やサウナに入れる?
軽度の毛嚢炎なら短時間の入浴は可能ですが、熱いお湯やサウナは炎症を悪化させるリスクを高めるため、完治するまでは無理をせずなるべく控えるようにしましょう。
軽度の毛嚢炎であれば入浴自体は問題ないですが、熱すぎるお湯や長時間の入浴は炎症を悪化させるおそれがあるためおすすめしません。
また、サウナに関しては、高温多湿の環境で細菌が繁殖しやすく赤みや痒みが悪化する要因になるため、避けたほうがよいでしょう。
毛嚢炎(毛包炎)になったら運動はしてもいい?
毛嚢炎が軽度であれば適度な運動は問題ありません。
ただし、大量に汗をかくような激しい運動の場合には、汗で患部が刺激され症状が悪化するおそれがあるため、患部の清潔を保ちながら無理のない範囲で軽めの運動をするのがおすすめです。
また、毛嚢炎の赤みや腫れ、痛みが強い場合には、「せつ」や「よう」にまで症状が悪化している可能性があり、運動による摩擦や発汗によって細菌が増殖しやすくなるため、症状が落ち着くまでは激しい運動は避けるようにしましょう。
毛嚢炎とは?症状や原因・治し方【まとめ】
毛嚢炎(毛包炎)は、毛穴の奥にある毛包に黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの細菌が侵入し炎症を起こす皮膚疾患で、誰にでも起こりうる可能性があります。
軽度の毛嚢炎であれば、皮膚を清潔に保ったり、市販の抗菌薬を使用することで1~2週間程度で自然に治ることが多いですが、炎症が深部まで及んだ「せつ」や「よう」に進行している場合は、医療機関での治療が必要になります。
もし症状が改善しない場合や、繰り返し発症する場合は、他の原因も考えられるため、早めに医療機関を受診して適切な診断と治療を受けるようにしましょう。